合理性に傾いたワゴンR
ずっと以前に初代ワゴンRが出た時は、
かなりの大ヒットだった。
ライバルのダイハツがムーヴを出すくらいに。
初代ワゴンRは、ワンツードアで、後部座席は
左しかドアがなかった。
理由は、人が右に出ると危険という説と
狭い車内を最大限広く使いたいという説がある。
どちらにせよ画期的なアイディア商品で、
軽自動車メーカーは、全部マネしたクルマを
作った。
ワゴンRがずっとNo.1なのは、常にコストと
クオリティのバランスが取れていたからだと思う。
初代は安かった。
ただ、アルトのF6Aのシングルカムエンジンは
非力すぎて、ターボを追加せざる負えなかった。
その後モデルチェンジしてアルミ製のK6Aになり
3代目では直噴ターボまで出た。
だけど価格はカローラよりも高くなった。
そこで4代目は特徴のあったドアをやめて、
他の車種との共用化とコストダウンに走った。
今までのワゴンRのドアはボディ同色だった。
プレーンなデザインだけどお金のかかる作り方だった。
これを止めてしまった。今は、普通のドアサッシにした。
普通のクルマはこういうドアでコストダウンをしている。
ワゴンRは、ドアに特徴があったのに最後で安売り用に
設計を変更してしまった。
資源高騰の時代だから仕方ないが、今ではムーヴと
何ら変わらず、むしろダイハツのエンジンの方が、
低騒音・低振動・高トルク・高出力で、何より違うのは
命を載せているタイヤである。
ワゴンRは、初代12インチから始まり大径化をするも
14インチが限界で、スティングレーの15インチは
走安性や乗り心地が最悪。
対するダイハツは最初から13インチでチェンジするごとに
インチアップして今では15インチが標準で、
トップグレードには16インチのタイヤがある。
16インチは、やりすぎだが、15インチはかなり
良かった。大径化で直進安定性が増した。
ワゴンRは、安さだけが取り柄になり、
より高級を求めるならダイハツという棲み分けに
なってしまった。
いまのところ、軽自動車ではダイハツのタントが
皮肉にも一番売れていて、スズキも大あわてで
パレットを造り「SW」と称してスーパーワゴンと言って
応戦している。
ワゴンRは、かつての設計思想を貫けず、
また、時代の変化はピラーレスを選択した。
ドアが重くなる事や、衝突安全性が少し落ちるが
やっぱり利便性を選ぶ時代になった。
スズキは苦しいと思う。
マツダとニッサンに車両提供しているが、
ニッサンのバッジが売れるのは複雑な心境だろう。
ダイハツはトヨタの子会社的な役割だから、
堅実にプーンやパッソを開発したりタントを
開発できた。
わたしは、ワゴンRが軽自動車ミニバンの原型だと
思っているが、最初ほどに売れなくなったのは、
合理化の果てに「無個性」になったような気がする。
だから「スティングレィ」という派生車種を出したり
MRワゴンを作って「モコ」という名前でニッサンで
販売したり、四苦八苦なのだと思う。
モコのためにドアを普通にしたのかも知れない。
エコのために直噴ターボを搭載したのかも知れない。
だけど、最初はパクリだったムーヴに追い込まれ
タントで度肝を抜かれたと思う。
トヨタにはアイシスで培ったセンターピラーレスの
技術があり、ダイハツは軽自動車の枠で実現、
実用化した。ドアは電動にすることで重さを
わからなくした。うまい手ではあるがオススメできない。
右折する時に左から何か来たらアウトだ。
だけど、個性をなくしたワゴンRのブームも終わった。
これからは、普通の自然吸気エンジンで普通に走る
普通の価格の軽自動車が売れると思う。
ちなみにホンダは、1,600cc以下の排気量は
シングルカムエンジンで統一している。
唯一の泣き所は、タイヤが小さくて加速がいいが
隙間が大きく乗り心地が残念な事だ。
最近、14インチを標準にし始めたが、他社は
もっと大径化して隙間も少なく乗り心地もいい。
ホンダの課題は、タイヤを大きくしつつ隙間を減らし
乗り心地を良くする足回りの設計だろう。
フィットなどは先代より乗り心地も良くなり
パワーも100馬力になって燃費もいい。
だけど、重いからカーブはデミオより滑り出しが
早く怖い事がある。
ダークホースは、ミツビシかなと思う。
アイは、ミッドシップのワゴンなのでムリがあるが
デザインは珍しい。
ekワゴンも「いい軽のワゴン」を目指したから
安くて足には手頃になった。
こうして、各メーカーがお互いの棲み分けを
する中で、スバルがトヨタの意向で軽自動車から
撤退するのは、かなり残念だった。
プレオもステラもR2もR1も売れなくなり、
止む終えない判断だったと思う。
しかも主力のレガシィのエンジンを2.5リッターと
3.6リッターにして大きな3ナンバーボディにして
いざアメリカで売る前にリーマンショックで
何もかも売れなくなった。
かつて、いすず自動車がピアッツァやジェミニを
輩出しながら撤退したように、スバルも今後は
トヨタの下請けメーカーになり輸出専用の
水平対向を燃費重視に開発するしかなくなった。
リーマンショックは、経済のクオンツが作った
「いかがわしい金融商品」が破綻して、世界中に
影響を及ぼしたが、その結果、大手のメーカーも
存亡がギリギリで、中小メーカーは、再編へと
向かうことになった。
唯一、フォードの呪縛から逃れたマツダが、
自由に開発できるようになったくらい。
わたしは、かつてのワゴンRのように、
設計思想が明確で斬新なクルマの登場を
期待している。






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